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人が登らずにタワークレーンを点検。韓国発のドローン点検システム「DIMS」の使い方とメリット、必要な機材

ドローン点検システム「DIMS」の操作画面。高層の建物を囲む飛行経路と、見つかった傷みの印が表示されている

こんにちは、国際ドローン協会(IDA)です。

ビルの建設現場で見かける、背の高いタワークレーン。安全に使い続けるには定期的な点検が欠かせませんが、高い所に人が登って目で確かめる作業には、落下などの危険がつきものです。今回は、この点検をドローンとAIに任せようという韓国のシステム「DIMS(ディムス)」をご紹介します。2026年10月21日から韓国・大邱(テグ)で開かれている展示会「FIX 2026」で紹介されている技術です。

建設現場のタワークレーンをドローンから撮影した映像

建設現場のタワークレーンをドローンから撮影した映像(現代建設の現場での実際の飛行として紹介されているもの)。画像出典:C&S公式サイト DIMS(https://dims.ai.kr/)

DIMSとは

DIMSは「Drone Infrastructure Management System(ドローンによるインフラ管理システム)」の略です。開発したのは、韓国・大田(テジョン)のスタートアップ企業、株式会社シエンエス(英語表記はC&S Co., Ltd.、報道ではCNSとも表記)で、2022年5月に設立された会社です。

韓国のニュースサイトAVINGの記事(2026年10月20日)によると、同社はFIX 2026に出展し、展示会のイノベーションアワードの受賞企業にも選ばれました。FIX 2026は、モビリティ・ロボット・AIなどの新しい技術を集めた展示会で、会期は10月21日〜24日、会場は大邱のEXCOです。

どんな使い方をするのか

DIMSは、点検の流れをひとつにまとめたシステムです。同社の説明をまとめると、次のような流れになります。

  1. 飛ぶ道を自分で作る:点検したい構造物の形を読み取り、ドローンが飛ぶ経路を自動で作ります。飛行中に形の変化や障害物があれば、経路を計算し直すとしています。
  2. 撮影する:クレーンの柱にあたる「マスト」や、腕にあたる「ジブ」、つなぎ目のボルトや溶接部分を、近くから撮影します。
  3. AIが傷みを探す:ひび、さび、変形、ボルトのゆるみなどをAIが見つけ、場所に印を付けます。
  4. 3Dの記録に残す:撮影したデータから「デジタルツイン」と呼ばれる3Dの模型を作り、見つかった傷みをその上の正しい位置に記録します。記録はクラウドに保存され、報告書も自動で作られるとしています。

公式サイトでは、傷みの一つひとつが大きさや確からしさ(信頼度)とともに座標で保存され、次の点検で同じ場所を見比べられると説明しています。事務所にいながら、画面上でクレーンの各部を好きな角度から拡大して確認できるのも特徴です。

DIMSの画面に表示された、タワークレーンを囲む点検用の飛行経路

DIMSの画面に表示された、タワークレーンを囲む点検用の飛行経路(画面上の表示はシミュレーション)。画像出典:C&S公式サイト DIMS(https://dims.ai.kr/)

メリット

  • 高い所に人が登らなくてよい:点検する人の落下の危険を減らせます。
  • 形が変わるクレーンにも合わせられる:タワークレーンは現場ごとに組み方が違い、工事が進むと高さも変わります。同社は、決まった経路をくり返すだけの点検では追いつかないため、形に合わせて経路を作る点を一番の強みとしています。
  • 結果がそろい、記録が残る:人の目による点検は、人によって結果に差が出やすく、記録も残りにくいという課題がありました。DIMSでは同じ場所の変化を後から追えます。
  • 情報をみんなで共有できる:現場と本社が同じデータをリアルタイムで見られるとしています。

実際の現場でも試されています。公式サイトによると、同社は2026年7月に韓国の大手建設会社・現代建設とタワークレーンのドローン点検の協約を結びました。現代建設がこの協業の募集時に公開した説明動画では、担当者が「タワークレーンの点検は月に1回ほど行い、大きな現場では20〜30基が入ることもある」「点検は工事が終わってクレーンが止まっているときに行う考え」「強い風など天気が悪いときは、条件がよくなってから点検する」と話しています。安全を最優先にした使い方といえます。

なお、韓国の学会誌に載った研究でも、タワークレーンの中でもマストやジブなどの高い部分ほど、ドローン撮影とAIによる分析が向いていると評価されています。

必要な機材とスペック

AVINGの記事によると、DIMSは特定の機体に限らず、さまざまな産業用ドローンで使えるソフトウェアとして作られています。同社が中心技術として挙げているのは、次のようなセンサーを組み合わせる仕組みです。

  • カメラ(RGB):ふつうの写真で、ひびやさびを見る
  • 赤外線(サーマル)カメラ:温度の違いから異常を見つける
  • LiDAR(ライダー):レーザーで形や距離を正確に測る
  • 深度センサー・慣性計測装置(IMU):奥行きや機体の動きをとらえる

写真から3Dの模型を作る技術(Visual SLAMやGaussian Splattingと呼ばれる方法)も使われています。また公式サイトでは、同社が自社でVTOL機(垂直に離着陸できる機体)やドローンの充電ステーションも手がけていると紹介しています。

一方で、対応するドローンの具体的な機種、必要なカメラの画素数、価格、日本での提供については、公式情報では確認できませんでした。公式サイトでは、デモ画面の公開や、使いたい人向けの利用申し込みの窓口が用意されています。

日本で同じように、建設現場など人や建物の近くでドローンを使った点検を行う場合は、飛行の許可・承認などの手続きが必要になることがあります(詳しくはIDAの講習でご案内しています)。

建物の外壁を包むように描かれた自動飛行の経路と、見つかった傷みの位置の表示

建物の外壁を包むように描かれた自動飛行の経路と、見つかった傷みの位置の表示。画像出典:C&S公式サイト DIMS(https://dims.ai.kr/)

クレーン以外への広がり

同社は、DIMSを送電線の点検や山火事の監視にも使っているとしています。公式サイトによると、2026年5月には大田市内の宝文山(ポムンサン)で、ドローンによる山火事監視の実証を行いました。ビルの外壁や橋への応用も視野に入れているとのことです。

まとめ

DIMSは、ドローンが「飛ぶ・撮る・調べる・記録する」までを一つの流れにした点検システムです。点検の現場では、操縦の腕だけでなく、撮影したデータをどう生かすかも大切になってきています。まずは基本の操縦と安全の考え方をしっかり身につけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

ドローンを安全に、もっと楽しく

国際ドローン協会(IDA)では、初めての方でも基礎から学べるドローン講習を行っています。機体の選び方や、安全に飛ばすための考え方も、講習で丁寧にお伝えしています。

▶ IDAのドローン講習はこちら

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アイキャッチ画像出典:C&S公式サイト DIMS(https://dims.ai.kr/)

参考情報

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