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風車を止めるのは1回だけ。風力ブレード点検ソフト「Smart Pilot」が小型機Matrice 4Eに対応、点検の段取りと必要な機材

風力発電の風車は、羽根(ブレード)の表面が雨や砂、落雷などで少しずつ傷みます。早めに見つけて補修するために、ドローンでブレードを撮影する点検が広がっています。ただ、点検中は風車を止める必要があり、その時間は発電できません。点検を「どれだけ短く、どれだけ同じ品質で」行えるかは、発電事業者にとって大きなテーマです。

英国に本拠を置く再生可能エネルギー企業のRES(アールイーエス)は、2026年10月26日、ブレード点検の自動化ソフト「Smart Pilot(スマートパイロット)」が、小型で導入しやすいDJI Matrice 4Eでも使えるようになったと発表しました。どんな使い方をするのか、業務上のメリット、必要な機材とスペックを整理します。

Smart Pilotとは? ブレード点検の撮影を自動化するソフト

Smart Pilotは、RESのデジタル部門が2026年6月に発表した、ブレード点検のデータ取得用ソフトです。DJIの市販ドローンとDJIのカメラ(ペイロード)をそのまま使い、追加のカメラや揺れを抑える専用装置は必要ないとしています。操縦者が使うのはSmart Pilotの飛行アプリだけで、撮影したデータはRESのデジタル基盤にアップロードして管理します(RES公式ニュース(2026年6月16日))。

「3回止める」から「1回止める」へ

これまでのブレード点検は、3枚のブレードを1枚ずつ撮りやすい位置に合わせるため、風車を3回止め、ブレードごとに別々に飛行するのが一般的でした。Smart Pilotはこれを1回の停止で済ませる自動の手順に置きかえ、従来の方法に比べて点検時間を約25%短くできるとしています(同上)。

2026年9月に出た「Smart Pilot 3」では、ローターの位置合わせは1回だけで、3枚のブレードを途中で止まらずに続けて撮影します。RESによると、G97という機種の風車での点検時間は、以前の50〜70分から25分に短くなり、1つのチームで1日10基以上を点検できるとしています(RES公式ニュース(2026年10月26日))。

今回の発表:小型のMatrice 4Eでも使えるように

RESのブレード点検基盤「3DX」の案内では、Smart Pilotの対応機として、大型のDJI Matrice 350 RTK、Matrice 400に加えて、小型で価格を抑えたMatrice 4Eが挙げられています(RES公式 3DX)。RESは、小型機は大型機より費用が少なく、条件のよい日には同等の画質が得られるとしており、2026年10月27〜29日にブラジル・サンパウロで開かれる展示会「Brazil Wind Power」で実演するとしています(前出 10月26日のニュース)。

どんな使い方をするのか

  • 発電事業者による自社点検:外部の点検チームを毎回呼ぶのではなく、自社のチームで点検する使い方を想定しています。RESは、遠隔の研修で半日ほどで運用を始められるとしています
  • 点検回数を増やす:1回の点検にかかる停止時間と費用が下がれば、点検の頻度を上げやすくなります
  • データを補修計画につなげる:3DXでは、AIによる損傷の分析、補修の優先順位づけ、補修作業の進み具合の管理までを1つの基盤で扱えるとしています(前出 3DX)

風力発電のブレード点検をする業務用ドローンのイメージ(AI生成)

業務でのメリット

止める時間が短いほど、発電の損失も小さい

点検のための停止は、そのまま発電できない時間になります。停止の回数と時間を減らせることが、Smart Pilotのいちばんわかりやすい価値です。RESは、ナセル(風車の上部)で停止の操作を行う風車や、風の弱い日にも、ローターの位置合わせが1回で済むことが役立つとしています。

現場ごとの「むら」を減らせる

自動の飛行と撮影の手順にそろえることで、風車や現場が変わっても同じ考え方でデータを集めやすくなります。過去の点検と比べて損傷の進み具合を見たり、補修の計画を立てたりするときに、この「そろっていること」が効いてきます。

専用機を買わずに始められる

市販のDJI機とアプリで運用できるため、専用の機材をそろえる必要がありません。すでにMatrice 350 RTKやMatrice 400などを業務で使っているチームは、慣れた機材から始められます。

必要な機材とスペックの目安

今回対応したMatrice 4Eの主な仕様は、DJI公式の仕様ページで次のように案内されています(DJI Enterprise Matrice 4シリーズ 仕様)。

  • 重量:離陸重量 1,219g(標準プロペラ、バッテリー等を含む)
  • カメラ:広角 4/3型CMOS・有効2,000万画素(メカニカルシャッター付き)、中望遠 70mm相当・4,800万画素、望遠 168mm相当・4,800万画素
  • 飛行時間:最大49分(標準プロペラ、無風・積載なしの参考値)
  • 耐風性能:12m/s(離着陸時)
  • RTK:対応(RTK測位時の精度 水平1cm+1ppm)

ブレード点検では、離れた位置からブレード表面の細かい傷まで写せる望遠カメラが重要です。一方で、風車のある場所はもともと風の強い土地です。RESも小型機の画質が大型機と同等なのは「条件のよい日」としているため、風の強い日や沿岸部・洋上などの厳しい条件では、大型機を使い分けることも考えておくとよいでしょう。

価格・日本での提供状況

Smart Pilotと3DXの価格、日本での提供状況は、公開情報では確認できませんでした。導入を検討する場合は、RESへ直接お問い合わせのうえ、機体の調達や国内での運用条件もあわせてご確認ください。

ドローン点検の競争は、機体の性能だけでなく「現場の止める時間をどれだけ減らし、集めたデータをどう補修につなげるか」へ広がっています。Smart Pilotの小型機対応は、その流れを示す動きです。

※業務での飛行には、場所や方法に応じて許可・承認などが必要な場合があります。基礎から学びたい方はIDAの講習をご活用ください。

出典

IDAで、業務につながるドローンの知識と技術を

国際ドローン協会(IDA)では、IDA無人航空機教習所(国土交通省 登録講習機関)をはじめ、点検や測量など仕事での活用を見すえた講習を行っています。

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