吐出量約2.5倍、剤切れで自動停止。農業ドローン用の新粒剤散布装置「S13」の使い方とメリット、必要な機材
稲刈りが終わり、来年の作付けに向けて機材を見直す時期です。農業用ドローンというと農薬の液剤散布を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、いま現場で広がっているのが、肥料や粒状の農薬、種もみなどをまく「粒剤散布」です。
国産ドローンメーカーのNTT e-Drone Technology(NTT東日本グループ、埼玉県朝霞市)は2026年9月29日、農業用ドローン「AC102」「AC101 connect」に取り付ける新しい粒剤散布装置「S13」を発表しました。どんな装置なのか、何が便利になるのか、導入に必要な機材の目安を、メーカー公式の情報をもとに整理します。
目次
S13とは? ドローンの下に付ける「肥料まき装置」
S13は、ドローンの機体の下に取り付け、タンクに入れた粒状の剤を、飛行しながら田畑にまく装置です。現行の「P13」の後継で、肥料・農薬・鉄コーティング種子など幅広い粒剤に対応します。メーカーが公表した主な仕様は次のとおりです(NTT e-Drone Technology公式発表(2026年9月29日))。
- タンク容量:13.5L(P13と同じ)
- 最大積載量:8kg
- 散布幅:約5m
- 最大吐出量(肥料):約10kg/分(P13は約4kg/分)
- 対応粒径:1〜5mm
- 装置重量:2.2kg(P13は1.8kg)
散布幅や吐出量は、剤の種類や粒の大きさ、飛行条件によって変わるとされています。
何が変わったのか
吐出量が約2.5倍に
シャッターの開口を広げ、最大吐出量を約10kg/分に高めました。大小2つの開口を機体外側のスイッチで切り替えられるので、たくさんまく作業と、「1キロ剤」などの少量をまく作業を1台でこなせます。
剤切れを自動で検知して停止
タンクの下にあるセンサーが剤切れを検知すると、操縦者に知らせて散布を自動で止めます。メーカーは、液剤散布と同じ感覚で、剤切れを気にせず自動航行ができるとしています。
可変施肥に使える肥料が広がった
可変施肥とは、田畑の場所ごとの生育や地力の違いに合わせて、まく量を自動で変える方法です。これまでの装置(P13)では、可変施肥に使える肥料が指定の4剤に限られていましたが、S13では粒径1〜5mmの化成肥料であれば、通常の施肥にも可変施肥にも使えるようになりました。

詰まりにくさとメンテナンス性
このほか、タンクの開口面積を2倍にして押すだけで開閉できる構造、過負荷を検知すると送信機にエラーを表示して散布を止め、機体ログにも記録する機能、金属製のS字の撹拌棒と高トルク化したモーター、工具なしで外せるインペラなどの改良が加わっています。固い肥料がプロペラへ跳ね返りにくいよう、部品の形も見直されました。
導入に必要な機材とスペックの目安
S13は単体で動く装置ではなく、AC102またはAC101 connectに取り付けて使います。利用には機体のファームウェアを最新にする必要があります。機体に装着すると、自動で「S13」と判別され、送信機の散布条件表示が切り替わります。
組み合わせる機体のAC102は、メーカーの製品ページによると、液剤タンクとバッテリーを除く本体重量が6.1kg、積載可能重量が8.0kg、飛行時間は30分(ホバリング・離陸重量13.0kg時)、最大耐風速は8.0m/sです(NTT e-Drone Technology AC102製品ページ)。S13の最大積載量8kgは、この積載可能重量と同じです。
可変施肥を行う場合は、AC102がBASFの栽培管理支援システム「xarvio® FIELD MANAGER(ザルビオ フィールドマネージャー)」の地力マップなどと連携し、送信機に表示した圃場マップに合わせて自動でまく量を変える仕組みで、このシステムへの別途申し込みが必要です(AC102提供開始の発表)。つまり、可変施肥まで行うなら「機体」「散布装置」「圃場のデータ」の3点をそろえることになります。
価格と発売時期
S13の標準販売価格は1台25万円(税抜)です。2026年10月1日(木)から事前申込を受け付けており、販売開始は2026年11月以降の予定です。AC102の機体本体はオープン価格です。また、メーカーは、AC102の注文から散布開始までは講習の受講などを含めて最短でも2カ月以上かかると案内しています。
人手の少ない中で、広い田畑を短い時間で、必要な場所に必要な量だけ。散布装置の進化は、スマート農業を現場に定着させる大事な一歩です。
※業務での農薬・肥料などの空中散布には、許可・承認などが必要な場合があります。基礎から学びたい方はIDAの講習をご活用ください。
出典
- NTT e-Drone Technology:新粒剤散布装置「S13」を10月1日より事前申込開始(2026年9月29日)
- PR TIMES:NTT e-Drone Technology プレスリリース(新粒剤散布装置「S13」、主要諸元表を含む)
- NTT e-Drone Technology:AC102 製品ページ
- NTT e-Drone Technology:可変施肥を支援する農業ドローン「AC102」の提供開始(2025年1月21日)
- ドローンジャーナル:NTT e-Drone Technology、最大吐出量2.5倍の新粒剤散布装置「S13」発売へ
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