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米国「つながる車」法案でメルセデスも対象に? ドローン事業者が知っておきたいポイント【米中摩擦と「つながる機械」第1回】

通信ネットワークでつながる車を抽象的に描いたビジネス解説イメージ

米国で、中国とつながりのある企業の「コネクテッドカー(通信機能を持つ車)」を締め出す法案が議論されています。この法案は、ドイツのメルセデス・ベンツも対象になりうるとして注目されています。

車の話ですが、ドローンを仕事に使う人にも無関係ではありません。今の機体も、通信で位置・映像・ログをやり取りする「つながる機械」だからです。この連載では全5回で、車とドローンの規制をそれぞれ整理し、日本の操縦士・事業者の実務にどう関わるかを考えます。第1回は法案の中身です。

1. 法案は「委員会で可決」の段階。まだ法律ではありません

2026年7月22日、米上院の商務委員会(Senate Committee on Commerce, Science and Transportation)がこの法案を全会一致で可決しました。委員会での可決とは、上院本会議で審議するための手続きを終えた、という意味です。法律になるには、その後に上院本会議での可決、下院での可決、大統領の署名が必要です。

今の時点で「輸入・販売が禁止された」わけではありません。一部の報道は見出しで「上院が可決」と書いていますが、正しくは委員会での可決です。報道によると、委員会は2026年9月22日に修正文を正式報告し、上院の議題表に載っていますが、本会議の採決時期は決まっていません(未確認)。

なお、法案の正式名称は報道によって表記が分かれており、今回の調査では確定できませんでした(未確認)。「Connected Vehicle Security Act of 2026」と報じられる一方、委員会審議を「Motor Vehicle Modernization Act of 2026」と表記する記事もあります。

2. 基準は「懸念国の企業・個人の出資が合計15%超」

法案が対象にするのは、中国など懸念国(報道では中国・ロシア・イラン・北朝鮮)の企業や個人が、合わせて15%を超えて出資しているメーカーです。単独の出資割合ではなく、「組み合わせた合計」で見る点がポイントです。

報道によると、メルセデス・ベンツの株主には次の2者がいます。

  • 中国の自動車大手 BAIC(北京汽車):9.98%
  • 吉利(ジーリー)創業者の李書福氏の個人の持株会社(Tenaciou3 Prospect Investment Limited):9.69%

どちらも単独では15%未満です。しかし合計すると19.67%となり、基準を超えます。ここが「中国車を締め出すはずの網に、ドイツの名門まで引っかかった」と言われる理由です。

注意したいのは、出資者が吉利という会社そのものではなく、創業者の李書福氏個人の持株会社だという点です。また、米商務省がすでに運用しているコネクテッドカー規則は「誰が会社を支配できるか」を判断する一方、この法案は株式の割合を合計で測る、という違いも報じられています。第2回で規則側を整理します。

3. すぐに締め出されるわけではない:猶予と許可の仕組み

報道によると、委員会が報告した文案には次のような仕組みがあります。

  • 2030年モデル年までの猶予期間(それより前のモデル年は販売を続けられる、との報道)
  • 米商務省に個別の許可(認可)を申請できる道
  • 許可のあと、議会が否決の共同決議を成立させれば取り消せる仕組み(2030年以降の許可に関する報道)

また、委員長のクルーズ議員は2026年7月の委員会でも、9月29日にも、「メルセデスを禁止することはない」「修正が必要だ」と発言したと報じられています。共同提案者のモレノ議員も、2030年までの猶予と商務省への許可申請の道がある、と説明しています。メルセデス本社の公式コメントは、今回の調査では確認できませんでした(未確認)。

4. ドローン事業者が押さえておきたい3つの視点

この法案は車が対象で、ドローンは対象ではありません。それでも、仕事でドローンを使う人には参考になる考え方があります。

① 見られるのは「どこの国の製品か」だけではない
法案の基準は、製造国ではなく「誰が出資しているか」です。機体そのものだけでなく、部品、操縦アプリ、クラウド、データ保管の提供元が問われる場面が増えています。公共案件や企業の発注では、サプライチェーンの説明が求められることがあります。

② 通信とデータが規制の中心にある
問題にされているのは、通信を通じた情報流出や、車を遠隔から操作される恐れです。ドローンでも、飛行ログや撮影データがどこに保存され、誰がアクセスできるかを、発注者に説明できることが大切になります。業務で使う操縦者の技能証明が信頼材料になる点は、こちらの記事でも整理しています。

③ 決まっていないことを、決まったように扱わない
今回の法案は審議の途中で、修正の可能性も報じられています。「もう使えなくなるの?」と聞かれたときに、委員会可決と法律成立の違い、猶予と許可の有無を段階ごとに説明できることも信頼につながります。物流や点検など業務導入の現場では、制度の現在地を正確に伝える姿勢が、運航体制の話や、点検業務の導入と同じく、発注者との対話の土台になります。

次回予告

第2回は、法案より先にすでに動いている米商務省の「コネクテッドカー規則」を取り上げます。いつから、何が対象なのかを整理します。

出典

※出典はいずれも2026年11月3日に確認。本稿の再確認は2026年11月5日。

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