避難訓練にて、ドローンポーターと物流ドローンを活用しました
2025年9月25日、IDAは、千葉県東庄町および香取広域自立支援協議会と連携し、医療的ケア児を対象とした避難訓練において、ドローンを活用した避難支援および災害用物資の輸送を実施しました。本訓練では、災害発生時における医療的ケア児の安全な避難を支援するため、2つのフェーズに分けてドローン技術を活用しました。
【フェーズ1:避難支援ドローンによる安全確認と同行支援】
避難支援フェーズでは、新明工業株式会社とIDAが共同開発した「高機動型ドローンポーター」を現地に出動させ、避難経路周辺の安全地帯に配置。そこから測量用ドローンを飛行させて避難経路全体の道路状況を空撮し、避難可否を判断するためのリアルタイム映像を関係者に共有しました。
避難経路の安全が確認された後、保護者と医療的ケア児による避難が開始され、その様子もドローンによって上空からモニタリング。避難者が目的地である東庄病院に到着するまで、安全を見守る支援を行いました。
【フェーズ2:ドローンによる災害用物資の輸送】
避難完了後には、東庄町役場から東庄病院までの約3.6kmの経路において、災害用物資の空輸を実施しました。使用機体は、物流用途に特化したドローン 「DJI FlyCart 30」。今回の訓練では以下の物資を2回に分けて輸送し、合計約39kgの荷物を安定的かつ確実に届けることに成功しました:
発電機(20kg)
飲料水(13kg)
アルファ米(6kg)
特に発電機は、医療的ケア児の生命維持に不可欠な医療機器を稼働させるための重要な装備であり、万一の停電時にも命を守るインフラの一部として、その輸送は大きな意義を持ちます。
また今回の輸送では、着陸困難な場所でも物資を安全に届けられるよう「ウインチ機構」を活用。
物資を上空から吊り下げたまま慎重に降下させ、地上スタッフが安全に受け取ることができる手法を実証しました。
さらに、飛行ルートの中には線路上空の通過も含まれており、通常は厳しく制限されるこうした飛行についても、関係機関との調整と綿密な安全管理のもとで実施。飛行時間は約5分間で、全行程をリアルタイム映像でモニタリングしながら、安全かつ効率的な物資輸送を完了しました。
今回の訓練を通じ、災害時に陸路が寸断された状況下でも、重要物資を確実に届ける手段としてドローン輸送が有効であることを改めて確認することができました。
災害発生時には、避難ルートの通行可否を確認するまでに時間がかかる場合や、ルートが物理的に遮断されている可能性もあります。
今回の訓練を通じて、ドローンを活用することで迅速かつ確実に避難判断を行える可能性があることを確認しました。また、物資輸送においても、地上の状況に依存しないドローン配送の有効性が実証され、今後の災害対応における新たな手段として期待されます。
IDAは、今後も関係自治体・企業と連携し、ドローンによる防災支援・地域課題解決の実証を継続してまいります。「誰一人取り残さない防災」の実現に向けて、技術の社会実装を推進していきます。
【参考】
•香取広域自立支援協議会:香取市・神崎町・東庄町で構成され、子どもから高齢者、障害の有無に関わらず安心して暮らせる地域づくりを目指し、官民が協力して取り組んでいます。
•医療的ケア児:人工呼吸器や痰の吸引、経管栄養など、日常的に医療的な支援が必要な子ども。18歳未満の子どもに加え、高校在学中の18歳以上も含まれます。


